高貴な身分である我らの叶わぬ恋物語

貴族である我らは低俗な一般市民とは何も関わることはない高尚な人間だ。だが私はふと見つけてしまうのだ、書籍を探していると、ふと一のタイトルに目がつく。

「黄金リンゴの孤独な誓い」と書かれた本は、恋愛小説であり、下世話で愚かな一般市民の間でベストセラーとなっているものだった、内容はこうだ、身分の違いから引き裂かれてしまう年頃の男女2人、そして二人の関係を良しとしない暴君、娘の父親は、男を磔刑に処してしまう。

これを悲しんだ娘の前に、妖精の女王とな乗る人物が現れ、娘を哀れに思い、死者を生き返らせるこ都の出来る黄金のリンゴを授けるのだが、女王から忠告が、「これを使ってしまうと、お前はすべての者たちの記憶がら消えてしまうだろう、もちろんそのリンゴで生き返ったものも例外ではない」と、娘は悩むことになるが、結果、リンゴを使ってしまう。

さっそく娘は男に会いに行くのだが、男は娘のことなど覚えていない、あろうことか娘を完全な他人だと思い、激しく拒絶したのだ。このことにショックを受けた娘は両親の待つ自宅に帰るのだが、両親の記憶からは娘のことなどさっぱり消え去り、娘を強盗だと思い箒でぶった、友達や親戚を総当たりしても、娘の事を覚えている人はいなくなり、この世界から完全に忘れ去られた娘は、ナイフで自分の心臓を貫き幕を閉じる、その娘の遺体のあった地面からは、黄金の果実のなる木が育つのだ。

という悲恋の物語なのだが。私はこれに大きな影響を受けたのだ、政略結婚や縁談などでしか結ばれることの無いこの貴族という身分である私、この一般市民の下世話本に触発され、自由な恋をしてみたくなったのだ。

その思いを胸に抱いていく月かたったころ、私のもとに若い娘の使用人がつくことに、その娘、身分は村娘であり、両親を楽にさせたいと、こんな辺鄙な田舎の没落貴族である我が一族の使用人となることを選んだらしい。

そしてその娘と話すきっかけとなったのは、この黄金リンゴの物語。娘もこれを読んでおり、このことがきっかけで話すようになり、従者と使用人の禁断の関係に。そして最終的には2人が幸せに暮らせる理想郷を求めて、愛の逃避行に走るのであった。